ネプロス処理ABC

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6.ネプロス処理によるバリ取りのメカニズム

 

多くの機械的なバリ取り技術では、そのバリ自体を小さくするという原理でバリ除去が行われています。

 

 
   

ヤスリ、切削バフブラシ

 バレル ショットブラスト 砥粒流動など

機械的な方法では、

ツールがバリに接触し、

バリ自体を削って小さくします

   

メリットは、

  • ツールが接触する部分のバリ除去が可能

  • 早い

  • 比較的安価

  • 大きなバリも取れる

  • エッジ部にRが付けられる

などです。

 

デメリットは、

  • ツールが触れない箇所は削れない

ということです。

 

一方、電解研磨では、どうでしょうか?

製品を電解研磨液に浸漬し、

電気を流すと、

電極に近い突起が帯電しやすく、

そこを電解研磨液が選択的に溶かし、

バリがだんだん小さくなって、

最終的にバリが除去されます。

   

メリットは、

  • 微小なバリに向いている

  • 選択性がある

  • 仕上がり面の粗度が小さい(平坦)

などです。

 

デメリットは

  • 電極から遠いバリは溶けない

  • 帯電の仕方によって、溶かしたくない場所も溶けてしまう

  • 量産性に乏しい(比較的高価)

などです。

 

最後にネプロス処理(化学研磨)のバリ取りのメカニズムを見てみます。

ネプロス処理液に触れている部分は、

バリでも本体でも溶けます。

溶け代(しろ)は浸漬時間で制御し、

ステンレス304材の場合で、

1分間約5ミクロン(厚みとして)くらいです。

   

メリットは、

  • 溶け代が小さいので、微細なバリに向いている

  • バッチ処理のため量産性に優れている

  • 処理液が触っている箇所はほぼ均一に溶けますので、パイプ内面や複雑形状など、品物の形を選ばない

デメリットは、

  • 酸性液体を沸騰させて処理する環境を整えるのが難しい

  • 廃液がそのまま廃棄物になってしまうので、ランニングコストが比較的高価

  • 選択性が無い(部分的なエッチングがほぼ不可能)

などです。

このように、ほとんどのバリ取り技術は、ツールや電極がバリに触れる(または近づく)ことが、原理上の必須条件と言えます。

一方のネプロス処理は、そのツールが液体なわけですから、自在に変形したツールがバリを除去していると言えます。

 

これら各手法の原理や、メリット・デメリットをよく理解して、正しい手法を選択してください。

 

 

 

 

5.ネプロス処理(化学研磨)と酸洗いの違いを知ろう ← 『ネプロス処理ABC』 → 7.彫刻刀で丸太を倒す? 

 

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