2.様々な研磨手法の概念を理解しよう
【1.表面処理技術を『寸法の増減』で分類してみよう】で、表面処理技術は、寸法に着目すると「太る」「変わらない」「痩せる」の3つに大別できるとお話ししました。
ここでは、その中の「痩せる」技術、すなわち『研磨技術』について、説明します。
研磨技術は削り方の原理で捉えると、『物理的に削る』方法と、『化学的に削る』方法の2つに大別できます。
もし念ずるだけで金属を溶かすことができるという方はご連絡ください。3つ目の『念で削る』を加えなくてはいけません。
さて、一般的に金属表面を小さくすることを考える場合、金属より硬い何かを削りたい場所にゴシゴシこすり付けていると、だんだん金属が削れてきます。
これが物理的な研磨方法で、「バフ研磨」や「バレル研磨」などがこのグループです。
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次に、金属を溶かすことのできる酸性(金属によってはアルカリ性の場合もある)の化学物質に触れさせれば、やはり金属を小さくすることができます。
これが化学的な研磨方法で、「電解研磨」や「化学研磨」などがこのグループです。
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ここで、「あれ?電解研磨が化学的?」と思われた方もあるでしょう。
しかし電解研磨も立派な化学的研磨なのです。
電解研磨はリン酸や硫酸を含んだ酸性液体に削りたいワークを漬け込み、そのワークを陽極として電気を流します。
するとワーク表面の鉄やニッケルが原子レベルで溶液中に溶け出すのでワークをゆっくり穏やかに削ることができるのです。
電解研磨は電気の力を借りていますし、機械がなんとなくゴツゴツしているので物理的な感じがしますが、『酸に溶かすという原理』は化学研磨の原理そのもので、電解研磨はいわば化学研磨に電気的なアシストを加えた特殊な例と言ってもいいのです。
(著者注釈)
ここで言う『物理的』とは『力学的・熱力学的な作用』を指し、
『化学的』とは『酸・アルカリなどの薬品との化学反応を伴った作用』を指します。
これは学術的な用語とは若干異なりますが、
何らかの外力を加えるものが『物理的』、
薬品を使うものが『化学的』と大義してください。
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